ウメハラVSときどin獣道弐①~神に挑んだ世界王者~
2018年3月10日。
格闘ゲーム(以下、格ゲー)ファンを熱狂の渦に巻き込んだイベント「獣道弐」が開催された。
本日はこのイベントのメイン、ウメハラ対ときどの試合を紹介する。
まず素晴らしい熱戦を繰り広げてくれた両者の説明を行う。
昨今、ゲームは「e-sports」と呼ばれ、かつての「たかがゲーム」といったような偏見を払拭し(あくまで国際的に見た場合ではあるが)、新たなスポーツとして定着しつつある。
世界的に有名なゲーム、「League Of Legends」のプレーヤーであるfakerの年収は1億を突破しており金銭的に見た場合でも他のスポーツと遜色ない。
平昌オリンピックの2日前に史上初となる五輪公認のe-sportsの大会も催され、その人気は高まるばかりである。
e-sportsがこのような一競技として定着するはるか前。
「ゲームセンターで286連勝(連勝のまま閉店時間を迎えた)」「キックボタンが壊れた状態でも50連勝」など、数々の伝説を作り上げ20年以上の長きに渡って格ゲー界の頂点に君臨し、存在そのものがゲーム文化の歴史と呼ばれる男がいる。
その名は梅原大吾。
ゲームをしない方でも一度くらいは耳にしたことがあるのではないだろうか。
全くご存知ない方のためにもウメハラ史上最も有名な試合の動画を貼る。
詳しい内容が理解出来ずとも、彼のプレーがどれほど人々を熱狂させるかわかると思う。
格ゲー文化の隆盛に最も貢献したまさに業界の旗手である。
ときど
そして紹介すべき選手がもう一人いる。
その名はときど。東大卒でプロゲーマーの道を歩んだ異色の経歴の持ち主。
(試合中の鋭い顔つきから付いたあだ名はmurder face)
彼は近年最も活躍している日本人プロゲーマーとして真っ先に名前が挙げられる男である。
その理由の一つとしてEvolution 2017での優勝がある。
これは格ゲー界で最も規模の大きい大会の一つで、ときどは優勝筆頭候補であったPunkというアメリカ人選手を破り、見事に優勝を飾った。
そんな日本の格ゲー界を代表する両者。
世界大会でも何度も対戦しているのだが、この度「獣道弐」にて再び相見えることとなった。
「獣道弐」はウメハラが主催してるイベントで、公式戦ではない。当然賞金が出るものでもない。
しかし、現Evolution覇者(2018年3月当時)であるときどは自ら志願した。
その理由を試合前のインタビューでこのように語っている。
「ウメハラを超えれるのかってことですよ、この業界で」
「僕はまだまだ全然追いつけていない」
「その差がどれくらいあるのか確かめてみたい」
「もちろん勝つつもりでやります」
世界大会を制しても尚、圧倒的な存在として格ゲー界に、そしてときどの中にウメハラが君臨しているということなのだろう。
そして同時にその距離を確かめる段階にきたと思えるほどに自分が成長したと感じていることも伺える。
対してウメハラはこのように語っている。
「ときどは今の格ゲー界に欠かせない選手」
「取り組み方は世界的に見てもトップクラス」
このように賞賛の言葉をときどにかけながらも、最後はこう締めくくる。
「2017年に活躍した人に俺から声かけて、”おい、お前目立ってるからやろうぜ”ってのもやらしいでしょ。そんなことはやりたくない。だから、ときど側からやりたいっていうならやるけど・・・どうやったら負けるの?って感じ。負け方わかんない。」
正直なところウメハラの昨年の戦績はかつてと比較するとそれほど優れたものではない。
そんな中でも、お互い日程を決めて対策をきっちりとし、試合を行った上では絶対に負けないというこの自信。しかも現世界王者に対してである。
現在の格ゲー界の中心は一体誰なのか。
それを決定づける世紀の一戦を巡る熱気は試合前からとてつもなく高まっていった。(続く)