14年越しに達成されたピクミン2の6日クリアほどの偉業を我は知らぬ。
(ピクミン好きなら是非とも呼んでくだちい)
誰しも「これは誰にも負けない!」という程にやりこんだゲームは一つや二つあると思う。
私にとってそれは「ピクミン」。
完全未プレイの方のために簡単に解説すると、ピクミンは主人公の「オリマー」を操作し、その後をついてくるピクミンに壁を壊す、物を運ぶ、敵を攻撃するといった指示を出してミッションをクリアするという内容のゲームである。
その面白さは何と言っても戦略性の奥深さ。
ピクミンはどれだけ増やしても地上には100匹までしか出すことができず、また15分弱で1日が終了してしまう。よってこの限られた条件の中でピクミンにどのような指令を出し、いかに短い日数でミッションをクリアするのかというのがこのゲームの肝となる。非常にシンプルだが、シンプル故に奥深いというまさに名作。
死ぬほどやった。当時小学生だったのでゲームは1日1時間までだったが、両親もどハマりしたため、休日になると昼夜通してプレイしていたことをよく覚えている。
途中からハマり方がおかしくなり、敵である「チャッピー」を主人公に据えた漫画雑誌、「チャッピーフラワーコミックス」を創刊し、ジャポニカ学習帳(表紙はカブトムシ)にチャッピーの漫画をひたすら書いていた。
(可愛い過ぎる)
改めて振り返ると自分でも引くほどピクミン愛に溢れていたが、現在に至るまで常日頃からプレイしているかというと決してそうではない。というのも、「ピクミン」は発売が2001年、「ピクミン2」は発売が2004年とそれぞれ発売から既に10年以上の月日が経過しているためだ。ネット通信もなく、対戦制でもないため現在もこのゲームをプレイするというのは正気の沙汰ではない。
しかし・・・しかし。
世の中は広かった。ピクミン、特に「ピクミン2」が発売されてから14年間、このゲームをやりこんでいる猛者は存在していたのである。
そして2018年、誰も成し遂げられなかった理論上の最短日数、6日クリアは遂に達成しされた。そのきっかけとなったのがこちらである。
「運搬測度論」。
14年の月日がゲームをついには学問として昇華させたのである。これは「ピクミンがモノを運ぶ際の速さはどのような要因が関わっているか?」ということを研究する学問である。ちなみにそのほかにも「ルート構築論」というものもあるらしい。いと奥深し。
この学問はmuratsubo氏により研究が進められていたのだが、その熱量には目を向く。詳しくは是非動画をご覧になって頂きたいのだが、運搬速度の公式が導出されるまでの過程に世の理系男子の心がくすぐられる事請け合いである。そして研究の結果、muratsubo氏は運搬能チャージ(通称:CCC)という現象を発見した。これはピクミンが運ぶ「モノそのもの」に速さを付与し、通常ではあり得ない速度での運搬を可能にするバグ技である。このCCCの発見により前人未到のピクミン2の6日クリアは遂に果たされた。
この偉業を知った時、思わずダイナマイトやペニシリンといった現実世界の様々な発明を想起した。ひたすら研究に打ち込んだ結果、偶然発見したことが問題解決の糸口になったという点が完全に一致していたからである。
あくまでゲームの世界の話ではあるが、目的達成に至るまでの過程やその熱量はこれらと決して引けを取らないと思う。現状2018年で最も感動した事柄である。
冒頭で記載したが誰しもこれは負けないと思うゲームの一つや二つはあると思う。もしそのゲームを今はプレイしていないということであれば是非現状を確認してみて欲しい。
きっとそこにはノスタルジーを含んだ大いなる感動が待っているはずだ。
(2018年7月2日 小スキピオ記す)
・・・う〜む。無駄に熱い文章になった。猛暑にやられたかな。